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平成15(ワ)17358 不正競争(不正競争防止法第2条第1項第3号関連)

>判例・裁判例>不正競争(商品形態模倣行為)判例・裁判例>

事件の概要

 Xら(原告)は、マンホール用足掛具(以下「X商品」という。)を共同で開発し、X商品を製造販売する者である。
 Xらは、Yら(被告)がマンホール用足掛具(以下「イ号物件」という。)を販売等する行為が不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為に該当する等と主張して,同法4条に基づき,損害賠償を請求した。

判旨

(1) 不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣」とは,他人の商品の形態をまねて,その商品と同一又は実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい,双方の商品を対比して観察したときに,形態が同一であるか又は実質的に同一といえるほどに酷似していることを要する。
(2) イ号物件について
ア:X商品とイ号物件は,基本的形態が同一であり,脚部及び寸法は,ほぼX商品と同一である。しかし,この基本的形態は,XやYらの他の製品及び他社の製品にも使用されており,マンホール用足掛具の基本的な構造であるといえるから,「同種の製品が通常有する形態」ということができる。そして,寸法については,商品の形態を直接形成するものではないから,模倣の有無の判断に際しては,参考となるにすぎない。
 他方,X商品とイ号物件の足踏部及び側部には,相違点が存在する。これらの相違点のうち,足踏部に関する相違点C:X商品の足踏部の中央の厚さは,両側に比べて薄くなっているが,被告製品は等厚である点、及び、D:X商品の足踏部の外面及び内面は,厚さ方向の中央部が長手方向に膨出しているが,被告製品の足踏部の外面は平坦である点は,注意深く比較検討しないと気が付かない程度の相違であって,形態の比較において大きな影響を与える相違点ではない。しかし,足踏部に関する上面滑止め用凸部,握り部及び反射体の相違並びに側部の相違については,容易に目に留まり,商品の全体の半分以上の割合を占める部位にわたる差異であり,形態に大きく影響を与える顕著な相違ということができる。そして,これらの相違点を考慮すると,イ号物件は,X商品と同一であるといえないのみならず,実質的に同一であるということもできない。
イ:もっとも,イ号物件は,X商品の形態から同種の商品が通常有する形態を除いた脚部,足踏部及び側部のうち,脚部については,X商品の脚部とほぼ同一である。
 しかしながら,不正競争防止法2条1項3号は,「他人の商品(中略)の形態(中略)を模倣した商品を譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入する行為」を不正競争行為と規定しているのであるから,同号にいう「商品」とは,「譲渡し,貸し渡し,譲渡若しくは貸渡しのために展示し,輸出し,若しくは輸入する」対象となるものであること,すなわち,それ自体独立して譲渡,貸渡し等の対象となるものであることが必要である。したがって,商品の形態の一部分については,それ自体独立して譲渡,貸渡し等の対象となる部品である場合には,その部品の形態は「商品の形態」であるといえるが,商品の形態の一部分が,独立した譲渡,貸渡し等の対象でなく,販売の単位となる商品の一部分を構成しているにすぎない場合には,当該一部分に商品の形態の特徴があって,その模倣が全体としての「商品の形態」の模倣と評価し得るなど特段の事情がない限り,原則として,その一部分の形態をもって「商品の形態」ということはできない。そして,本件では,脚部は,X商品ないし被告製品から取り外すことができず,独立して譲渡,貸渡し等の対象となる部品ではなく,販売の単位となる商品の一部分を構成しているにすぎない上,上記特段の事情を認めるに足りないから,脚部の形態をもって,同法2条1項3号にいう「商品の形態」ということはできない。
 そして,X商品とイ号物件を比較した場合には,前記のとおり,両者には足踏部及び側部において顕著な相違点が認められるから,イ号物件は,X商品の形態を模倣した商品であるということはできない。

注記:判決文では下線はひかれておりません。

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