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平成24年(行ケ)第10317号 審決取消請求事件(商標法第3条第1項第6号関連)

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事件の概要

 原告は、「MOKUMEGANEKOUBOU」の欧文字を標準文字で表した商標につき,第14類「キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,イヤリング,ペンダント,指輪,宝石ブローチ,宝玉及びその模造品」及び第40類「金属の加工,身飾品の加工」を指定商品・役務とする商標登録出願(以下「本願」といい,本願に係る商標を「本願商標」という。)をしたが,拒絶査定を受けたので,拒絶査定不服審判を請求した。これに対し,特許庁は,「本件審判の請求は,成り立たない。」旨の審決(以下「審決という。)をした。
 審決では,本願商標中の「MOKUMEGANE」の文字は,金属加工技術の一種である「木目金(杢目金)」を欧文字をもって表したもの,「KOUBOU」の文字は,「工芸家などの仕事場」を意味する「工房」の語を欧文字をもって表したものというのが相当であって,これに接する需要者は,「木目金(杢目金)の技術による商品の製作ないし同技術を用いた金属(金属製品)の加工を行っている工房」程の意味合いを認識するにとどまるから,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」(商標法3条1項6号)に該当するとして,本願は拒絶すべきものであると判断した。
 原告は、これを不服とし、知財高裁に提訴した。

判旨

1.本願商標について

 本願商標は,「MOKUMEGANEKOUBOU」との16字からなる欧文字を標準文字により表記した商標であり,表記どおりの外観を呈する。本願商標からは,「モクメガネコウボウ」との称呼を生じる(その他の称呼を生じる余地はない。)。
 本願商標から,特定の観念が生じるか否か,観念が生じるとしてどのような観念か,について検討する(以下,本願商標中の「MOKUMEGANE」部分について,称呼を指すに当たり,片仮名により表記する場合がある。)。
(1) 「MOKUMEGANE(モクメガネ)」部分について
 「木目金(杢目金)」の意義・使用例に加えて,「木目金(杢目金)」が金属加工技術として一般的に認知されていることについては,当事者間に争いがないことからすれば,「MOKUMEGANE(モクメガネ)」部分は,「木目金(杢目金)」,すなわち,「色の異なる金属を幾重にも重ね合わせたものを彫って鍛えた金属工芸品」を想起させる。
(2) 「KOUBOU(コウボウ)」部分について
 指定商品及び指定役務と関連する「コウボウ」と称呼される語としては,「工房」が想起される。「工房」は,「美術家や工芸家などの仕事場。アトリエ。」との意味を有する。商品や技芸等を表す語に続いて表記される「○○工房」は,商品や技芸等を取り扱う工房(仕事場)の意味で使用される例が多い。
(3) 本願商標から生じる観念について
 以上によれば,本願商標から「色の異なる金属を幾重にも重ね合わせたものを彫って鍛えた金属工芸品の仕事場」との観念を生じる。

2.判断

 以上の事実認定を踏まえると,本願商標に接した需要者は,指定商品及び指定役務(14類「キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,イヤリング,ペンダント,指輪,宝石ブローチ,宝玉及びその模造品」,40類「金属の加工,身飾品の加工」)との関係では,本願商標から,「木目金・杢目金(色の異なる金属を幾重にも重ね合わせたものを彫って鍛えた金属工芸品)の仕事場」程の意味を想起すると解するのが自然である。
 そうすると,本願商標は,指定商品及び指定役務の内容を説明する語によって構成された商標であると解されるから,商標法3条1項6号所定の「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することはできない商標」に該当するというべきである。

注記:下線は、判決文では引かれておりません。実務上、重要と思われる部分に引いております。

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