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平成24(行ケ)10267 審決取消請求事件(商標法第4条第1項第7号関連)

>判例・裁判例>商標(登録要件)判例・裁判例>

事件の概要

 X(原告)は,「シャンパンタワー」の文字を横書きしてなり,第43類「飲食物の提供,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,テーブル・テーブル用リネンの貸与,ガラス食器の貸与,タオルの貸与」を指定役務とする本件商標の商標権者である。
 Y(被告)は,Xの本件商標登録について,商標法4条1項7号に違反することを理由に,無効審判を請求した。
 特許庁は,これを審理し,本件商標登録は,無効にすべきものである旨の審決(以下「本件審決」という。)をした。
 Xは、これを不服とし、提訴した。

判旨

本件商標の商標法4条1項7号該当性

(1) 本件商標のうち「シャンパン」の部分は,@「CHAMPAGNE」を表す邦語であるところ,Aフランス北東部のシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒を意味する語であって,生産地域,製法,生産量など所定の条件を備えたぶどう酒についてだけ使用できるフランスの原産地統制名称であり,B「CHAMPAGNE」「シャンパン」は発泡性ぶどう酒を代表するほど世界的に著名であり,我が国においても,数多くの辞書,事典,書籍,雑誌及び新聞等において「シャンパン」についての説明がされている。
 これらの事実を総合すると,我が国において,「シャンパン」の表示は,「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして,一般需要者の間に広く知られていることが認められる。
(2) 本件商標は,「シャンパンタワー」なる商標であるところ,そのうち「シャンパン」の語が,上記のとおり,「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味するものとして,周知著名であり,当該表示には多大な顧客吸引力が備わっていることに照らすと,本件商標からは,「シャンパンタワー」のみならず「シャンパン」という称呼及び観念も生ずるということができる。
(3) そして,フランスの法律に基づいて設立されたYは,INAOとともに,「シャンパン」表示が有する上記のような周知著名性や信頼性を損なわないよう,シャンパーニュ地方のぶどう生産者やぶどう酒製造業者を厳格に管理・統制し,厳格な品質管理・品質統制を行ってきた。このような,Yを始めとするシャンパーニュ地方のぶどう生産者やぶどう酒製造業者らの努力により,「シャンパン」表示の周知著名性が蓄積・維持され,それに伴って高い名声,信用,評判が形成されているものであり,「シャンパン」という表示は,シャンパーニュ地方のみならず,フランス及びフランス国民の文化的所産というべきものになっている。
 そして,「シャンパン」という表示は,我が国においても,ぶどう酒という商品分野に限られることなく一般消費者に対しても高い顧客吸引力が化体するに至っていることが認められる。
(4) 以上のような,本件商標の文字の構成,指定役務の内容並びに本件商標のうちの「シャンパン」の表示がフランスにおいて有する意義や重要性及び我が国における周知著名性等を総合考慮すると,本件商標を飲食物の提供等,発泡性ぶどう酒という飲食物に関連する本件指定役務に使用することは,フランスのシャンパーニュ地方における酒類製造業者の利益を代表するYのみならず,法律により「CHAMPAGNE」の名声,信用,評判を保護してきたフランス国民の国民感情を害し,我が国とフランスの友好関係にも影響を及ぼしかねないものであり,国際信義に反するものといわざるを得ない。
 よって,本件商標は,商標法4条1項7号に該当するというべきである。

注記:下線は、判決文では引かれておりません。

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