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平成24(行ケ)10310 審決取消請求事件(不使用取消審判関連)

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事件の概要

 X(被告)は、「Fashion Walker」の 文字と、その文字より小さい「ファッションウォーカー」の文字と、を2段併記した商標(以下「本件商標」という。)につき,指定商品を第25類「洋服,コート,セーター,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,帽子,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」とする登録商標(以下「本件商標登録」という。)について商標権(以下「本件商標権」という。)を有する商標権者である。
 訴外Aは,商標法50条1項に基づき,本件商標登録の取消審判(以下「本件審判」という。)を請求した。
 Y(原告)は,商標法56条1項,特許法148条1項に基づき,本件審判への参加を申請し,上記参加申請を許可する旨の決定がされた。
 特許庁は,本件審判事件を審理し,本件審判の請求は成り立たないとの審決(以下「審決」という。)をした。審決の理由の要旨は,グンゼ株式会社(以下「グンゼ」という。)は本件商標権の通常使用権者であり,グンゼが製造販売し,@右側上部に,赤い片仮名文字により表記された「ファッション ウォーカー」の文字と,Aその下段に黒い欧文字により表記された「fashion」の文字と,Bさらにその下段に,赤い欧文字により表記された「Walker」の文字と,C最下部に表記された「For the stylish woman. Designed to make walking legs looktheir best.」の文字とからなる商標(以下「本件使用商標」という。)が表示されたパンティストッキングが,本件審判の請求の登録前3年以内に,株式会社アイ・ティ・エム・ユー(以下「アイ・ティ・エム・ユー」という。)のネットショッピングのウェブサイト(以下「本件サイト」という。)において取引されていたと認められることから,通常使用権者によって,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が,本件商標の指定商品である「靴下」について使用されていたと判断するというものである。
 Yは、上記審決を不服とし、その取消を求めて提訴した。

判旨

(1) 認定事実
ア:Xは,本件商標権のほか,以下の各商標権を有している。すなわち,「ウォーカー」の文字からなる商標登録第765171号,「WALKER」の文字からなる商標登録第853981号及び商標登録第5221496号,「CityWalker/シティ ウォーカー」の文字からなる商標登録第4049524号,「Men’s Walker」の文字からなる商標登録第5024158号,「Boys Walker」の文字からなる商標登録第5039590号,「Lady’s Walker」の文字からなる商標登録第5039591号,「Kid’s Walker」の文字からなる商標登録第5039592号に係る各商標権を有している。
イ:Xは,平成7年9月6日付けで,グンゼとの間で,上記のうち2つの商標(「ウォーカー」の文字からなる商標登録第765171号及び「WALKER」の文字からなる商標登録第853981号に係る商標,本件外商標)を,指定商品中「パンティストッキング,女性用タイツ,婦人・紳士用ソックス」に使用することについて,期間を平成10年12月31日までとして,通常使用権を許諾する旨の商標使用権許諾契約を締結し,商標使用権許諾契約書を作成した。
 Xとグンゼは,平成20年12月2日付け,平成21年12月18日付け,平成22年12月6日付けで,本件外商標につき,契約期間を1年間とする,上記と同趣旨の商標使用権許諾契約を締結し,それぞれ契約書の作成をした。
ウ:グンゼは,同社が製造したパンティストッキングの包装に本件使用商標を付して,同商品を販売していた。本件使用商標は,@右側上部に,赤い片仮名文字により「ファッション ウォーカー」と小さく表記され,Aその下段に黒い欧文字により「fashion」と,やや大きく表記され,Bさらにその下段に,赤い欧文字により「Walker」と,さらに大きく表記され,頭文字「W」は,極めて大きく表記されている。C最下部には,「For the stylish woman. Designed to make walking legs looktheir best.」と併記されている。
 なお,Xは,「City Walker/シティ ウォーカー」の文字からなる商標登録第4049524号に係る商標につき,平成7年10月25日に登録出願し,平成9年8月29日に登録を受けた。グンゼは,自己が製造したストッキングの包装に,上段に「CITY」,その下段に「シティウォーカー」,さらにその下段に「Walker」と表記した標章を付して,販売していた。
(2) 通常使用権許諾の有無について
 上記各事実に照らすならば,Xはグンゼに対し,本件商標について通常使用権を許諾していると認定するのが相当である。
 この点,Xは,グンゼとの間で,本件商標に関しては,通常使用権許諾契約書等を作成していない。
しかし,@Xとグンゼとの間では,既に,本件外商標(「ウォーカー」の登録商標及び「WALKER」の登録商標)について,契約書を作成した上で通常使用権を許諾する旨の契約をしており,上記商標と極めて類似性の強い本件商標についても,当然に使用許諾をしていると解するのが自然であること,AXは,グンゼが本件使用商標を使用していることを知っていたと認められるが,グンゼの同使用行為について異議を述べていないこと,B本件商標の出願日と同じ日に被告が登録
出願した商標「City Walker/シティ ウォーカー」についても,Xは,グンゼとの間で,通常使用権許諾契約書等を作成していないにもかかわらず,グンゼが,これと社会通念上同一の商標と解される商標を使用しているが,Xは,グンゼの同使用行為について異議を述べていないこと等の事実を総合すれば,グンゼは,本件商標に係る通常使用権者であると解するのが相当である。

(3) 小括
 以上によると,グンゼは,通常使用権者として,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を使用していたといえる。

注記:下線は、判決文では引かれておりません。

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