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平成23(行ケ)10085 審決取消請求事件

>判例・裁判例>商標(商標及び商品・役務の類否)判例・裁判例>

事件の概要

 X(原告)は、「TVプロテクタ」の文字を標準文字で表して成る商標(以下「本願商標」という。)につき,第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とする商標登録出願(以下「本願」という。)をしたが,拒絶査定を受けたので,拒絶査定不服審判を請求した。
 これに対し,特許庁は,「本件審判の請求は,成り立たない。」旨の審決(以下「審決という。)をした。
 Xは、これを不服とし、提訴した。

判旨

1 本願商標及び引用商標について

(1) 本願商標は,「TV」の欧文字と「プロテクタ」の片仮名文字を結合した商標であって,標準文字からなる「TVプロテクタ」の文字を一連の横書きで表記したものである。
 本願商標は,「TV」と「プロテクタ」を組み合わせた造語と解されるところ,「TV」部分は,英単語である「television」の略語と一般に理解されるから,テレビジョン受信機の観念が生じる。また,「プロテクタ」部分は,英単語である「protector」の片仮名表記と一般に理解され,一般人にとって,保護するもの,保護する装置,防御物,防護用具,保護者,後援者等の観念が生じる。そうすると,「TV」部分と「プロテクタ」部分の意味的な結び付きが強いとはいえないから,これらの単語を組み合わせた本願商標「TVプロテクタ」の全体からは特定の観念が生じないというべきであり,生じるとしても,テレビジョン受信機を保護する何らかの装置との観念を生じさせるにとどまり,指定商品の機械器具,部品の分野でみても,「TV」と「プロテクタ」のいずれかの部分に強い識別力が伴うものとすべき事情を認める証拠はない。
 そして,双方の部分ともに冗長ではなく一連に発音しても違和感のないものであるから,本願商標からは,全体として「ティーヴィープロテクタ」の称呼が生じるものと認めることができる。
(2) 引用商標は,「PROTECTOR」の欧文字を横書きで表記したものである。引用商標からは,保護するもの,保護装置,防御物,保護者,後援者等の観念を生じさせ,「プロテクタ」又は「プロテクター」の称呼が生じ得る。

2 本願商標と引用商標との類否

 外観について,指定商品の関係でみても「プロテクタ」の部分に識別力があるとすべき事情は認められないので,本願商標は欧文字と片仮名文字を組み合わせた「TVプロテクタ」として観察されるのに対し,引用商標は欧文字の「PROTECTOR」として観察され,全体として両者は外観が異なる。
 観念について,本願商標からは特定の観念が生じず,仮にテレビジョン受信機を保護する何らかの装置との観念が生じ得るとしても,引用商標は,保護する装置,保護者等の観念そのものであるから,保護する装置等の観念部分が共通するとはいっても,全体としてみれば,両者は観念において異なる。
 称呼についても,本願商標からは「ティーヴィープロテクタ」の称呼が生じるのに対し,引用商標からは「プロテクター」又は「プロテクタ」の称呼が生じるもので,「プロテクタ」の部分は共通するものの,全体としてみれば称呼は異なる。
 以上のとおり,本願商標と引用商標とは,その外観,観念,称呼において異なるところ,この対比結果につき,取引の実情に関し特に斟酌すべき事実は認められない。したがって,本願商標と引用商標は類似するということはできない。

注記:下線は、判決文では引かれておりません。

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