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平成22(行ケ)10326 審決取消請求事件

>判例・裁判例>商標(商標及び商品・役務の類否)判例・裁判例>

事件の概要

 X(原告)は、「Gold Loan」の欧文字を横書きしてなる商標(以下「本願商標」という。)につき,第36類「資金の貸付」を指定役務とする商標登録出願(以下「本願」という。)をしたが,拒絶査定を受けたので,拒絶査定不服審判を請求した。
 これに対し,特許庁は,「本件審判の請求は,成り立たない。」旨の審決(以下「審決という。)をした。
 Xは、これを不服とし、提訴した。

判旨

1 本願商標と引用商標との類否
(1) 類否の判断
 本願商標の外観は,「Gold Loan」であるのに対し,引用商標の外観は,右に傾斜させた横書きで,特有の書体で表記された「CitiGold Loan」であり,「CitiGold」と「Loan」との間には,約1文字分の間隔が設けられている。引用商標中の「C」と「G」の間に「iti」の小文字の高さを揃えて配置し,「CitiGold」と表記した特徴的な書体に照らすと,取引者,需要者は,引用商標の「CitiGold」部分をまとまったものとして認識すると解される。両商標は,外観において,相違が認められる。
 また,本願商標からは,「ゴールドローン」との称呼を生じさせるのに対し,引用商標からは,「シティゴールドローン」ないし「シティゴールド」の称呼を生じさせる。取引者,需要者は,「ローン」部分については,指定役務である「資金の貸付け」との関係で,識別機能を有する部分と解されないことに照らすならば,両商標は,称呼においても,相違が認められる。
 さらに,本願商標は,全体として,特定の観念は生じないというべきであるが,需要者において素晴らしいとの印象を抱かせるような種類のローンとの観念を生じさせることもあり得るといえる。これに対し,引用商標も,全体として,特定の観念は生じないというべきであるが,需要者,取引者は,シティバンク銀行株式会社等が属するシティグループが提供するローン(貸付け)ないし金融サービスとの観念を生じさせることもあり得るといえる。そうすると,両商標は,観念が生じないと解した場合には対比ができないが,観念を想起できると解した場合には,互いに相違する。
 以上のとおり,本願商標と引用商標とは,その外観,称呼において相違する。また,観念においては,特定の観念が生じないので,対比することはできないが,他方,シティバンク銀行株式会社等が属するシティグループが提供する貸し付け役務と理解される場合には,観念において相違する。そして,Xは,金利逓減型カードローンにおいて,「Gold Loan」をカードに表記して使用するほか,「ゴールドローン」,「三井住友カード ゴールドローン」等の表記をウエブサイトにおいて使用しているのに対して,シティバンク銀行株式会社は,「CitiGold」,「Citigold」及び「シティゴールド」の表記を,貸付けを行なうサービスに用いていたこと,本願商標及び引用商標の指定役務は,いずれも「資金の貸付け」であるところ,一般に,その需要者,取引者である資金の借主にとっては,資金の貸主が誰であるかは,最も重要な要素の一つであるから,契約を締結するに当たり,相応の注意を払った上で,貸主が誰であるかを確認するものと推認されることなど,指定役務の内容を含めた取引の実情等をも総合考慮するならば,取引者,需要者において,両商標における役務の出所について混同を来すおそれは認められないと解すべきであって,両商標は類似しない。
(2) 小括
 以上のとおり,本願商標と引用商標とは,外観,称呼において類似せず,取引の実情を考慮にいれても,役務の出所に誤認を生じさせるおそれがあるとはいえないから,審決が,本願商標と引用商標は類似するとした判断には誤りがある。

注記:下線は、判決文では引かれておりません。

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